経済や地域活動を回していきたくても、人口が維持できないところは衰退していきますよね。私が館山市に来た時の人口はぎりぎり5万人はいましたが、この10年で減少し今では約4.5万人です(2020年11月現在)。これから先も高齢化が進み、これからの地方で目覚ましい発展はないかな?と思っていますが、終わりが来るのを何もせずにいるのも嫌なので、少しでも長く地域の活動が続くようにできればいいなと思います。
私が暮らす部落には青年会がありまして、青年会と言っても若くて40〜50代、最高齢60歳ですけどね。普段の活動は、神社掃除や、田んぼを維持するための水路掃除ですが、意外と重要なのがお祭りです。お祭りは、神社をという装置を利用して営むシステムですが、地域コミュニティを維持するために重要な役目を果たしています。地域住民がまとまってその地域でお互い助け合いながら生活するためのシステムなので、崩れ始めると地域が崩壊してしまうと思います。このシステムを止めることなく維持するために必要なのが、実は農業という業種だと考えています。家の周辺で一日仕事をしている人間、農業という業種が地域維持に貢献できる業種なんだろうなって。
農業大学校に通っていた頃、他地域の農家に見学に行ったのですが、新規就農者の若い農家さんが、地域に溶け込めず、孤立してしまっている方もいました。畑も外から見えなくしている農家を見て、ここで農家をやっている意味があるのかなって疑問に感じていました。そんな中で、私が農業を目指したとき、作物を作る事だけが農業ではなく、地域コミュニティの活動を維持するということも農業っていう職種の役目だと思ってきました。最初の5年間は自分の農業よりも地域の活動や消防活動の方が最優先でしたね。そのおかげで、他県から就農してきたにもかかわらず、部落の青年会長を任され、部落の代々続くお祭りの仕切り役もやらせてもらえるようになりました。
農業を始めるときの意識付けみたいなものは、誰かが教えてあげないとダメなのかなって思います。つい先日、NPOの農育プロジェクトという活動で、現在千葉県の浦安市でサラリーマンをやっている50代ご夫婦が就農したいと相談にいらっしゃいました。その方には農業の話だけではなく、地域コミュニティーの関わり合いなどの話もして、就農するということを理解してもらいました。
持続可能なコミュニティ活動ができることが、この地域で就農するためのポイントになるでしょうし、そんな仲間が集まることこそが館山の未来に期待することだと思っています。